EPSホールディングス 薬剤師アカデミー®専用フリーダイヤル (受付:平日9:00-18:00) 0120-357-380 主催:株式会社EPファーマライン
薬剤師アカデミー®
本サイトは、医療従事者の方を対象に情報を提供しています。
あなたは現在、医療従事者ですか?

はい いいえ

講師が解説! お役立ちQ&A

薬剤師アカデミー各回で先生が話されていた内容をQ&A形式で公開しています。
医療従事者向けの情報であり、セミナー開催時点での情報であることをご了承ください。

テーマ

高血圧管理・治療ガイドライン2025を踏まえた降圧薬の使い分けと降圧管理

講 師
山口 徹雄先生
山口 徹雄(やまぐち てつお)先生 プロフィール 虎の門病院 循環器センター内科 医長/
心臓・血管カテーテルセンター 副センター長
2006年神戸大学医学部卒業。大阪府済生会中津病院などを経て、2019年より虎の門病院循環器センター内科医長・心臓血管カテーテルセンター副センター長。2022年3月から約1年間カナダ・トロント大学に留学し、経カテーテル大動脈弁植え込み術(TAVI)や経皮的僧帽弁接合不全修復術(MitraClip)など経カテーテル的心臓弁治療を数多く経験。
  • Q1 「高血圧の薬は一度飲み始めると一生続けないといけないから嫌だ」と患者さんに言われた場合、服薬の重要性を納得してもらうためには、どのように説明すればよいでしょうか? A1 高血圧の薬は飲み続けることが基本ですが、必ずしも一生飲み続けなければならないわけではありません。まずは薬を服薬することで血圧を安全域まで下げ、重大な病気の発生リスクを下げることが重要であることを伝えましょう。
    そのうえで、減塩や体重管理など生活習慣の改善を続け、血圧が安定すれば、薬の量を徐々に減らしていけます。
    治療の見通しを説明し、不安を和らげてあげましょう。
  • Q2 患者さんに毎日血圧を測ってもらうためには、どのような声かけが効果的でしょうか? A2 「ご自宅で測った血圧は診察室よりも実際の状態に近く、治療方針を決めるうえでとても重要です。毎日の測定結果があると、より適切な薬の調整ができますので、ぜひ続けてください。」と伝えるとよいでしょう。診察室や薬局での測定値は緊張などで高めになることがあり、自宅測定のデータを信頼していることを強調すると、患者さんの協力が得やすくなります。
  • Q3 高齢患者の場合、転倒リスクを考えると血圧130/80を目指すより、収縮期血圧140程度を目標にしたほうがよいでしょうか? A3 最新のガイドラインでは、高齢者も若年者も同じ目標値(130/80mmHg未満)が推奨されており、以前のガイドラインから変更となったポイントです。ただし、これは大規模試験に基づく一般的な推奨値であり、個々の患者の状態に応じた調整が必要です。転倒リスクや併存疾患を考慮し、場合によっては140mmHg程度を目標とすることも妥当だと考えられます。
※2025年12月17日(水)の薬剤師アカデミーでのご講演を基に作成したQ&Aです。
テーマ

よくある“気になる症状”にこの漢方

講 師
堀場裕子先生
堀場 裕子(ほりば ゆうこ)先生 プロフィール 慶應義塾大学医学部 漢方医学センター 医局長 日本東洋医学会専門医・指導医。日本産科婦人科学会専門医。日本漢方生薬ソムリエ。女性ヘルスケアアドバイザー。2003年、杏林大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部・産婦人科学教室入局。大学病院並びに関連病院勤務を経て、2011年より慶應義塾大学医学部漢方医学センター、2014年より現職。
  • Q1 複数の漢方薬が処方されているのをよく見かけます。特に重複に気をつけるべき生薬について教えてください。 A1 複数の漢方薬を併用されている場合、構成生薬の重複に注意が必要です。特に「甘草」は、過剰摂取によって高血圧や浮腫などの副作用が出ることがあるため、多量に長期間、服用している場合は、注意が必要でしょう。
    ただし、個人差も大きく少量・短期間でも副作用が出る方もいますので、症状の有無は毎回確認する必要があるかもしれません。
    他にも 黄芩(オウゴン)は肝機能に影響を与えることがあります。定期的に採血を行っているかなどの問診をするとよいでしょう。
    複数の漢方薬が処方されている際は、重複の有無を確認し、必要に応じて医師に相談してください。
  • Q2 漢方薬の中で、即効性が期待できるものはありますか。また、頓用でも効果がある薬はどれですか。 A2 一般に、少ない構成生薬からなる漢方薬は即効性が期待できます。代表例としては、芍薬甘草湯(芍薬、甘草)や五苓散(茯苓、沢瀉、猪苓、桂枝、朮)です。これらは症状が出てからの内服でも即効性が期待できるため、頓用でも処方されることが多い漢方薬です。
    芍薬甘草湯は、こむら返りの特効薬として知られており、スポーツ前などの頓用でも効果が期待できます。ただし、服用量が多く、長期連用している場合には注意が必要です。
    五苓散は、主に水分代謝を促し、浮腫みを改善する漢方として知られています。水の巡りが悪く雨天や台風の前後に体調を崩す人には、天候不順が予想される2~3日前から回復するまでの間、期間限定で服用してもらうこともあります。
  • Q3 効果判定までのおおよその目安を教えてもらいたいです。患者さんの中には、効果が感じられないままなんとなく続けている方がいます。 A3 漢方薬の効果判定までの服用期間は、疾患や症状、患者さんの体質によって異なるため一概に言うことができません。
    例えば、五苓散や芍薬甘草湯のように比較的即効性が期待できる漢方薬は、数日の服用で効果が見られなければ、別の漢方薬への切り替えを検討することもあります。一方で、疲労感や免疫低下など慢性的な症状に対する漢方薬では、数か月から年単位の時間で考えることもあります。
※2025年10月22日(水)の薬剤師アカデミーでのご講演を基に作成したQ&Aです。
テーマ

心不全診療ガイドライン2025~薬剤師が知るべきポイントとは~

講 師
猪又 孝元先生
猪又 孝元(いのまた たかゆき)先生 プロフィール 新潟大学大学院医歯学総合研究科 循環器内科学 主任教授 心不全のスペシャリストであり、心不全をはじめとした心臓・循環器疾患の予防や啓発活動にも取り組む。日本心不全学会の理事として総務委員長などを担う。日本心不全学会・日本薬剤師会『薬剤師による心不全服薬管理指導の手引き』(2024年8月第1版)の作成メンバー代表。著書に、『心不全管理をアートする-脚本はどう作るのか』など。

ご略歴
1989年 新潟大学医学部卒業
1996年 独・マックスプランク研究所リサーチフェロー
2016年 北里大学北里研究所病院循環器内科 部長・教授
2021年 新潟大学大学院医歯学総合研究科 循環器内科学 主任教授
2022年 新潟大学大学院医歯学総合病院 副病院長
  • Q1 「心不全診療ガイドライン2025」で、示された「前(プレ)心不全」について、教えてください。 A1 心不全の進行は、生活習慣病などのリスク因子のみの「ステージA」、構造的・機能的心疾患やBNP高値などがみられる「ステージB」、心不全症状・徴候を伴う「ステージC」、そして重症の心不全である「ステージD」――の4段階に分けられます。
    今回改訂された「心不全診療ガイドライン2025」では、症候性心不全(ステージC)に至る手前の「前(プレ)心不全=ステージB」を、予防における重要な時期と位置づけて、記載を充実させています。
    具体的には、症状や徴候はないものの、左室・右室機能障害、心室肥大、心腔拡大、壁運動異常、弁膜症などの構造的心疾患を有する、BNP/NT-proBNPが他の原因なく高値を示すケースなどが含まれます。この段階で、十分に介入することで、ステージCへの進展を防ぐことが重要です。
  • Q2 BNP/ NT-proBNPは、どのように見ればいいのでしょうか。 A2 BNP/NT-proBNPは、心不全を鋭敏に反映する代表的なバイオマーカーです。
    日本心不全学会の「BNP/NT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント2023年改訂版」では、国際基準に基づき、心不全の可能性を示すカットオフ値をBNP 35 pg/mL以上、NT-proBNP 125 pg/mL以上としています。
    BNP/NT-proBNPは特に陰性的中率が高いことが特徴であり、これらを下回る場合は、直ちに治療が必要な心不全である可能性は低いと考えられます。
    さらに近年は、うっ血の早期発見や治療強化、GDMTの最適化を目的とした「BNP/NT-proBNPガイド治療」に注目が集まっています。
    押さえておきたい数値は次のとおりです。
    BNP 100 pg/mL超:心不全(ステージC)の診断基準
    BNP 200 pg/mL未満:心不全コントロールの目安
    NT-proBNP ≒ BNPの約4倍
    つまり、慢性期の心不全コントロールは BNP 100~200 pg/mL を一つの目安と考えることができ、「100・200・4倍」の数字を意識することが重要です。
    ただし、BNP/NT-proBNPは、心房細動や腎機能障害、加齢、肥満などによって影響を受けます。患者背景を考慮して、経過を見ることが大切です。
  • Q3 心不全患者への飲水指導はどう考えればいいですか。 A3 「心不全診療ガイドライン2025」に明記されているように、心不全患者に対して一律に水分制限を行う必要はなく、原則として水分制限は不要です。ただし、重症心不全、低ナトリウム血症、高度な腎機能障害を合併している場合は例外です。その場合は、主治医からの具体的な指示を確認してください。
    一般的な飲水指導としては、1日1~1.5L程度を目安に摂取を促してください。その際、スポーツドリンクや経口補水液などは、糖分やナトリウムを多く含むため、避けるよう説明することも大切です。特に経口補水液はナトリウム含有量が高く、心不全の病態を悪化させるリスクがあります。
※2025年8月21日(木)の薬剤師アカデミーでのご講演を基に作成したQ&Aです。
テーマ

薬剤師が知っておくべきアトピー性皮膚炎の薬物治療

講 師
江藤 隆史先生
江藤 隆史(えとう たかふみ)先生 プロフィール あたご皮フ科副院長/東京逓信病院皮膚科客員部長/
日本臨床皮膚科医会会長
昭和52年東京大学工学部計数工学科卒業後、昭和59年3月東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部皮膚科、関東中央病院皮膚科、ハーバード大学病理学教室研究員を経て、東京大学医学部皮膚科講師・病棟医長、東京逓信病院皮膚科部長、同病院副院長などを歴任し、平成31年4月より現職。日本臨床皮膚科医会会長、東京大学皮膚科教室同窓会会長。医師向けの「臨床力が高まる皮膚科診断クイズ」(学研プラス、2021年)」などから一般向けの「子どものアトピー性皮膚炎 正しい治療法 (健康ライブラリーイラスト版)」(講談社、2016年)まで著書多数。
  • Q1 ステロイド外用薬の使い方を説明する際のポイントは? A1 ステロイド外用薬は、炎症をしっかり抑えるために「十分な量を、十分な期間使うこと」が非常に重要です。
    「ステロイドが効かない、塗ってもどんどん悪くなる」と訴える患者さんは、薄く擦り込んで塗っていることがほとんどであり、使用量の目安をしっかり説明することが大切です。
    使用量の目安は、手のひら2枚分の広さの皮膚に対して、1FTU(フィンガーティップユニット、約0.5g)を塗布するのが適量とされています。1FTUとは、成人の人差し指の先端から第一関節までの長さにチューブから出した量です。
    ただし、チューブの口径などによって多少の違いがありますので、あくまで目安であり、そのくらい「多めに塗布しよう!」という“合言葉”と捉えてください。
    患者さんには、1TFUの考え方とともに、「ティッシュが貼り付くくらいのべとつきを目安に、しっかり塗ってください」と説明すると、イメージしやすくなると思います。
    塗布量の指導は、繰り返し行うことが大切です。塗り方の理解が不十分なことが多いので、薬局でも、塗布量の説明とともに「十分な量を継続的に塗布することが治療の鍵」であることを定期的に伝えてもらえるといいでしょう。
  • Q2 患者から「薬はいつまで使うの?」と聞かれた場合、薬剤師はどのように答えるのがよいでしょうか。 A2 患者さんを対象とした調査では、アトピー性皮膚炎の治療において、医療者に最も望むこととして「いつまで塗り続けるべきか指導してほしい」と回答した人が3割を超えており、これは患者さんの大きな関心事となっています。実際、薬局でも相談を受けることが多いでしょう。
    最も重要なのは、患者が自己判断で外用薬を中止しないようにすることです。自己中止は炎症の再燃リスクを高め、症状を長期化・悪化させる要因となり得ます。
    アトピー性皮膚炎では、症状が落ち着いて皮膚が一見正常に見えても、実際には組織内に炎症細胞が残存し、再燃しやすい状態が続いていることがあります。この「潜在的な炎症」が残っている時期には、ステロイド外用薬などの抗炎症外用薬を間欠的に使用して寛解を維持する「プロアクティブ療法」が推奨されます。
    プロアクティブ療法は、炎症が再燃してから使用する「リアクティブ療法」と比べて、再燃を抑制しやすく、結果的に外用薬の総使用量を減らせる可能性があります。特に、再燃を繰り返す症例では重要な治療戦略と考えられます。
    患者さんには、症状が改善しても皮膚の内部には炎症が残っていること、そして再燃を防ぐためには治療の継続が不可欠であることを説明してください。医師の指示に基づき治療を続ける意義を丁寧に説明し、患者さんの不安や疑問に対応し、寄り添いながら治療の継続をサポートすることが求められます。
  • Q3 ステロイド外用薬と保湿薬が処方されている場合、どちらを先に塗るのがよいのでしょうか。 A3 保湿薬とステロイド外用薬の塗布順序については、これまでの報告から、どちらを先に塗布しても効果や安全性に有意な差はないと考えられています。
    実際には、塗布面積の広い保湿薬を先に全体へ塗布し、その後にステロイド外用薬を病変部に限定して塗布する方法が指導されることが一般的です。ステロイドを先に塗布してから保湿薬を重ねると、ステロイドが本来不要な部位にまで広がってしまう可能性があるためです。
    しかし、塗布量が増えるとアドヒアランスは低下しやすく、保湿薬を先に塗るルールでは、疲れて帰宅した際などで、保湿薬だけを塗布してステロイド外用薬を省略してしまうケースも想定されます。そのため、まず抗炎症薬であるステロイド外用薬を塗布するよう指導する医師もいるでしょう。
    塗布順序には明確な優劣はありませんので、患者の性格や生活習慣、アドヒアランスの状況に応じて柔軟に指導方法を調整することが重要です。
※2025年7月31日(木)の薬剤師アカデミーでのご講演を基に作成したQ&Aです。
  • メディカルコミュニケーター採用情報